ちがさねKenshi倉庫

PCゲーム、Kenshiに関するブログです。モッダーなので解析的なデータを多く扱います。

序盤の防具鍛冶金策の最適解は本当にバンダナなのか?

皆さんはバンダナ金策というお金稼ぎの方法をご存じでしょうか。

ゲーム序盤にKoufuなどと並行し、街で購入した家の中でバンダナを自作して販売することで原料の布地との差額が儲けになるという、Kenshiにおけるオーソドックスな金策の手段です。
防具鍛冶スキルが育っていないうちは等級の低いバンダナしか作れませんが、作っていくうちにスキルが育って等級が上がっていきます。バンダナ金策を数日続けて高品質等級が作れるようになれば、なんと一つ1500キャットで売れるようになります。

そんな有効なバンダナ金策ですが、なぜ販売用に自作する防具はバンダナが最適だとされているのでしょうか。Kenshiには数多の防具が実装されているのに、バンダナより効率の良い稼ぎになる防具は存在しないのでしょうか。

今回の記事では「防具の制作に必要となる材料の量」と「防具の価格」の計算式を元にKenshiで実装されている防具を調査し、制作時に使用する「材料当たりの価格」が最も高価なものを調査します。防具鍛冶金策における最適解が本当にバンダナなのか、そうでないならどれが本当の最適解なのかを検証してきましょう。

↓忙しい人は結論だけでも見ていってね↓

 


防具の制作に必要となる材料の量

それではまず、「防具の制作に必要となる布地の量」を見ていきます。
こちらのShidan氏のガイドによりますと、防具製作台で使用される布地の量には以下のルールがあるようです。

防具の保護率の合計に 0.01 を掛けたものを「材料費用」と言い、その防具のメインの材料(布、革、鎖帷子シート、装甲板)の必要量になる。
FCSで設定されている防具ごとの「fabrics amount」という設定値を「材料費用」に掛けたものを「布地費用」と言い、メインの材料と一緒に使用する布地の必要量になる。
なお、胸部の保護率は通常の1.5倍として扱われる。
保護率の設定されていない防具は、身体の全部位の合計として100%の保護率を持つ防具として扱われる。

衣類作業台で防具を作るときは「材料費用」と「布地費用」で要求されるアイテムが同じなので、「布地費用」が免除される仕組みがあります。
例としてサムライの袴は衣類作業台でも革制防具作業台でも制作できますが、衣類作業台で作ると材料が布地2.5だけなのに、革制防具作業台だと材料はなめし革2.5と布地0.5になります。

なお、「fabrics amount」の値はほぼすべての防具で0.2という値に固定されています。なのでたいていの場合は「材料費用」の0.2倍が「布地費用」です。

また、保護率が増えるほど必要な布地も増え、胸部を保護している場合はもっと増えます。
ここでバンダナの保護率を見てみると、なんと頭部に40%しかありません。バンダナとセットで作れるようになるキャップと比べると、後者は保護率を持たないため合計100%の保護率となり、バンダナの2.5倍の布地が必要な計算になります。
この原料の少なさという特徴から、バンダナは金策の道具として支持されているのかもしれません。

 


防具の価格

続いて完成後の「防具の価格」の計算式を見ていきましょう。

価格の計算式はこちらのLucius氏のガイドを参考にしました。内容が複雑なので要点だけまとめたものがこちらです。

※保護率を持たない防具の場合
FCS上で防具ごとに設定された「value」の値に、その防具の装備スロットごとの補正を掛けたもの。

※保護率を持つ防具の場合
その防具の等級素材(布、革、鎖、装甲板)とクラス(軽鎧、中鎧、重鎧など)から算出される値に、FCS上で防具ごとに設定された「relative price mult」の補正を掛け、さらに防具の装備スロットごとの補正を掛けたもの。

スロット補正
靴:0.2、頭:0.3、ズボン:0.5、鎧:1.0、インナー:1.5

これでもかなり端折っています、詳しい内容を知りたい人は引用元のガイドをご覧ください。
防具の価格は保護率を持つか持たないかで計算式が大きく変わります。ここではそれぞれ別々に解説していきます

保護率を持たない防具について

保護率を持たない防具では、防具ごとに設定された「value」の値が高く、スロット補正が大きい防具の価格が高くなります。
FCSで保護率を持たない防具を検索して、value順にリスト化してみました。下の表の左から二番目の列がvalueの値を示しています。

一番上にある貴族のズボンのvalueが1000という大きな値になっていて目が引かれますね。しかしこれは商品の価格が1000キャットになっているという訳ではありません。
防具の価格にはスロット補正という項目があり、その装備を装着する箇所によって防具の価格が変わります。例えば、頭装備のバンダナは0.3倍の補正がかかった価格となっており、もしこれがインナー装備だったなら補正は1.5となり、価格は5倍になっていたことになります。

貴族のズボンの話に戻りますが、ズボン装備には0.5倍の補正がかかるので、基本価格は500キャット。店で換金するときの売値はこの1/4になるので125キャットです。

最も高価なアイテムでも売値は125キャットです。しかも、先ほど説明した通り保護率を持たない防具はバンダナの2.5倍の布地が必要になります。最も等級が低いバンダナなら売値が6キャットなので、防具鍛冶スキルが低い最序盤は貴族のズボンを作ったほうが金策としての効率が良いですが、少しスキルが上がって見掛け倒し等級を作れるようになれば売値は46キャットになり、売却価格/材料布地が逆転します。
なお、貴族のズボンの設計図はブラックスクラッチの本屋でしか入手できず、その値段は750キャットです。もはや誤差レベルの恩恵しかありません。

「保護率の無い防具を作る位なら
脳死でバンダナ作ってたほうがマシ」

という結論を得られました。
これらの装備は今回の記事の候補からは外しておきましょう。

保護率を持つ防具について

保護率を持つ防具においては、等級が高く素材が高価で防具のクラスが高いものが高価になります。※保護率は価格に影響しません
また、これらの条件から自動で算出される価格に「relative price mult」という補正が加わります。これは防具ごとに手動で設定された価格調整用の補正です。例えば鎖帷子と比べて黒い鎖帷子はステルス関連のデバフが少ないので、その分価格が高くなるように補正されていたりします。

防具は素材が高価なほど、クラスが高いほど完成後の値段も高くなるとあり、最も高価になる組み合わせの装甲板製重鎧はサムライ鎧などが例に挙げられます。たしかにあれの傑作等級を全身一式そろえると5万キャットは軽く飛びますね。

 


検証:材料当たりの価格

それでは最後に、「材料当たりの価格」の価格を比較検証していきます。
なお、ここからは防具の等級はすべて高品質等級として扱います。(厳密には等級ごとに価格を比較する必要があります)
また、等級を持たない保護部位なしの装備は、既に金策に適さないことが分かっているので無視します。

まずはここまでで分かった防具鍛冶金策に適している防具の条件を記載します。

  • 保護率を持つが、合計値が低い。胸部に保護率を持たない。
  • 素材と鎧クラスが高い
  • relative price multが大きい
  • 以下のスロットの防具である
    インナー>鎧>ズボン>頭>靴

さて、防具の素材が高価なほど完成品も高価になると書きましたが、例えば装甲板製の防具自作の技術を開放するためには工学研究所が必要だったり、制作に行きつくためのハードルも高くなっています。仮にバンダナよりも効率が高い防具を見つけたとしても、序盤に真似できなければ意味がないですよね。
そこで今回は防具を制作する作業台ごとに最適な装備を決めることで、ゲームの進行と共に金策に使う防具を切り替えられるようにします。
それぞれの作業台ごとに保護率が特に低い、relative price multが特に大きいなどの特徴を持つ防具をピックアップして、その材料当たりの価格を計算して比較していきたいと思います。

衣類作業台(材料:布地)

金策候補ピックアップ☆

  1. バンダナ
    :保護率が計40%でコストが圧倒的に安い、クラスは軽鎧
  2. 忍者の覆面
    :保護率計90%、このカテゴリ唯一の中鎧で補正大
  3. ボロシャツ
    :保護率計140%、クラスは最低、鎧スロットなので補正に期待
  4. カーゴパンツ(鎖裏)
    :保護率計200%、鎖装備なので補正に期待、材料に鎖は不要

衣類作業台で使う布地は一つ63キャットです。それぞれの防具を店で買った布地で作ると仮定して、材料の合計金額と完成後の高品質等級のその防具の売却価格を比べます。
なお、布地の自給には農業を行う必要があるので序盤は店で買うのが主な入手法になります。

バンダナ:25.2キャット→391キャット
15.5倍の利益

忍者の覆面:56.7キャット→458キャット
8.0倍の利益

ボロシャツ:88.2キャット→217キャット
2.4倍の利益

カーゴパンツ(鎖裏):126キャット→863キャット
6.8倍の利益

このカテゴリで最も金策としての効率が良いのは定説通りのバンダナでした。
ですが技術研究が進んで衣類作業台の次の革製防具作業台を建てられるようになれば、バンダナを超える効率の金策が見つかるかもしれません。

革製防具作業台(材料:なめし革)

金策候補ピックアップ☆

  1. 黒い革シャツ
    :保護率計310%、インナーでrelative price multが1.4で補正大
  2. 傭兵の革鎧
    :保護率計380%、カテゴリ唯一の中鎧、relative price multが0.8で不利
  3. 藤の笠
    :保護率計70%、軽鎧、保護率の少なさに期待
  4. 暗殺者の衣
    :保護率計225%、軽鎧、鎧だけど胸部保護が少ない

革製防具作業台でメインに使うなめし革は一つ156キャットです。また、なめし革の0.2倍の個数の布地が必要になります。
なお、なめし革は動物からはぎ取った生皮から作成できますが、生革は240キャットで売れるので価値が下がります。金策の事だけを考えるのであれば、生皮は手に入り次第売却してなめし革を購入するのがおススメです。

黒い革シャツ:(483.6+39.0)522.66キャット→3441キャット
6.5倍の利益

傭兵の革鎧:(592.8+47.9)640.6キャット→1542キャット
2.4倍の利益

藤の笠:(109.2+8.9)118.0キャット→491キャット
4.16の利益

暗殺者の衣:(351.0+28.3)379.3キャット→1639キャット
4.32の利益

バンダナを超える効率の防具は無く、カテゴリ内の最大効率は黒い革シャツですね。
しかしインナー装備は制作に不具合じみて長い時間がかかる仕様があります。保護率が同程度の装備と比べて3倍くらいかかりますかね。なのでタイムパフォーマンスで見ると次点の暗殺者の衣が優れています。

重装甲の鍛冶場(材料:装甲板)

金策候補ピックアップ☆

  1. ハートプロテクター
    :保護率計75%、軽鎧
  2. サムライの長靴
    :保護率計80%、重鎧

革製防具作業台でメインに使う装甲板は一つ504キャットです。また、装甲板の0.2倍の個数の布地が必要になります。
装甲板は鉄鉱石から簡単かつ安定的に自給できるので、実際のプレイで店で買うことはほとんどありません。なので金策としての効率は以下の数値より大幅に向上します。

ハートプロテクター:(378.0+9.4)387.4キャット→3297キャット
8.5倍の利益

サムライの長靴:(403.2+10)413.2キャット→2637キャット
6.38倍の利益

ハートプロテクターの効率がかなり高いです。金策としての効率はバンダナに及びませんが、完成品がバンダナ8個分の値段なので時間当たりの効率で上回っています。

また、装甲板を自給した場合一つ辺り二つの原鉄が必要になります。なので、装甲板の正しい値段としては、採掘した原鉄二つをそのまま売却した際の価格(180キャット)が適切です。
装甲板の価格を180キャットとして効率を再計算するとこのようになります。

ハートプロテクター:(135.0+9.4)144.4キャット→3297キャット
22.8倍の利益

バンダナのほぼ二倍の効率になりました。重装甲の鍛冶場が作れるようになったらすぐにハートプロテクターに乗り換えるのが良さそうです。

鎖帷子防具作業台(材料:鎖帷子シート)

金策候補ピックアップ☆

  1. ハイブ用の黒染鎖帷子シャツ
    :保護率計250%、中鎧、インナーでrelative price multが1.4で補正大
  2. カルタ頭巾
    :保護率計80%、中鎧、relative price multが1.2

鎖帷子防具作業台で使う鎖帷子シートは、一つ2592キャットの価格で非常に高価です。シートは鋼鉄地金2つ(計1296キャット)で制作できるので、今回はこの価格を鎖帷子シートの価格として扱います。
(この論理だと鋼鉄地金→鉄板→鉄鉱石とどんどん原料を遡れるので、逆算は一回までにしておきます。)

ハイブ用の黒染鎖帷子シャツ:(3240.0+31.5)3271.5キャット→6114.5キャット
1.9倍の利益

カルタ頭巾:(1036.8+10.0)1046.8キャット→1048キャット
1.0倍の利益

どうにも効率が悪いですね。やはり原料が高すぎるのが原因でしょう。自拠点で鍛冶金策をしていて鋼鉄地金を自給できるなら原料のコストはもう少し抑えられますが、鎖帷子シート完成までの工数が長いので拘束される人手が多すぎます。
ここまで技術研究が進んでいるならハートプロテクターを作り続けていればいいと思います。

 


結論

バンダナはその保護率の低さから原料となる布地が少なくて済み、制作時間が早いという特徴があります。
バンダナ生産は金策としての効率が高いので、技術研究が進んで重装甲の鍛冶場が解放されるまでは有効なお金稼ぎの手段となります。

しかし、重装甲の鍛冶場が解放されるとハートプロテクターの生産が可能になります。ハートプロテクターは単価がバンダナの8倍で、時間当たりのお金稼ぎの効率が高いです。
また、重装甲の鍛冶場で使う装甲板を自給するようにすれば防具の売却価格が原料価格の22倍になり、バンダナの11倍より一回り大きくなります。

このような防具鍛冶による金策の最大の利点は、安全な街の中に籠っていてもキャットを稼げることです。稼いだキャットで数十人と仲間を増やし、彼らに金策の傍ら制作した等級の高い防具を身に着けさせれば、戦闘訓練をしていなくても道行く野盗は怖くなくなるでしょう。
安全なエリアで完全に準備を整えてから冒険の旅に出たいというKenshiでは中々叶えられることがない望みを叶えることができるのがこのテクニックなのです。